全日空は海外の航空会社やファンドと共同出資で格安航空会社を設立する方針を固めた。全日空単独では劇的な低コスト化は実現できないと判断した。アジアをはじめ６時間以内で飛べる海外拠点と日本との間を、大手航空の半額以下の運賃で運航するサービスを来年にも開始する意向だ。航空自由化の進展を背景に、中国や東南アジアの有力格安航空が日本に本格進出を始めていることに対抗する。

　新会社設立にあたり、全日空は現在の「ＡＮＡ」ブランドの旅客サービスとの競合を避けることを重視している。多様なサービスを展開するためにも海外勢に加え、旅行や流通、ホテルなど複数の国内企業から広く出資を募る考え。

　新会社はＡＮＡとは別ブランドとし、従業員もＡＮＡグループとは別の給与体系で新たに採用する。リストラで退職する日本航空のパイロットを雇い入れることも検討するほか、社長には海外の格安航空会社の経営に携わった経験がある人物をスカウトする方針。

　新設する会社の資本金は500億円を超える規模になる見通しだ。全日空は筆頭株主として30～50％を出資する。海外航空とファンドはあわせて30％弱の出資を見込む。複数の海外勢と接触して条件を詰めており、９月にも連携する相手を決める方針だ。

　国内の拠点空港は関西国際空港が有力だが、着陸料などの空港使用料が国際比較上、非常に高いため、大幅な減免措置を政府や関空会社に要求していく。